昨日に勝る今日の花

きのうにまさるきょうのはな
意味

心の移り変わりが激しいこと

注釈 「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべ さとのえいざめ)」兵庫屋八ツ橋

【佐野次郎佐衛門】
 花魁、そりゃぁちと袖なかろうぜ。
 夜毎に変わる枕の数、
 浮き川竹の勤めの身では
 昨日にまさる今日の花と、
 心変わりはしたかは知らねど、
 もう表向き今夜にも
 身請けのことを取り決めようと、
 昨夜も宿で寝もやらず、
 秋の夜長を待ちかねて、
 菊見がてらに廓さとの露、
 濡れて見たさに来てみれば、
 案に相違の愛想づかし、
 そりゃぁもう田舎者のその上に、
 二た目と見られぬわしゆえに、
 断られても仕方がないが、
 なぜ初手から言うてはくれぬ。
 江戸へ来るたび吉原で、
 佐野の誰とか噂もされ、
 二階へ来れば、朋輩の
 花魁たちやかむろにまで
 呼ばれる程になってから、
 指をくわえて引き込まりょうか、
 ここの道理を考えて、
 察してくれてもよいではないか。

英語
雑記